トウアズキ

トウアズキ
トウアズキ(果実と葉)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: トウアズキ属 Abrus
: トウアズキ A. precatorius
学名
Abrus precatorius
L. (1753)
英名
Jequirity

トウアズキ(唐小豆、Abrus precatorius)はマメ亜科つる性多年草または木本。種子が赤く美しいので装飾用などに使われるが、この種子は猛毒を持つことでも知られる。 英語では jequirityと呼ばれており[1]、他にも Crab's eye[1]、 rosary pea[1]、 John Crow Bead[2] 、precatory bean[1] 、Indian licorice[1] 、Akar Saga、gidee gidee[1]、Black-Eye Susan[3]と呼ばれている。また、トリニダード・トバゴ[4] ではJumbie beadと呼ばれている[注 1][1]

分布・生育環境

東南アジア(熱帯アジア)原産で、他の熱帯地域や広く栽培され、あるいは野生化している[3]。日本では八重山諸島に野生化している。本来の分布域は熱帯アフリカとみられている[5]

形態・生態

つる性の小高木で、高さは3 - 5メートル (m) になる[3]偶数羽状複葉小葉は10 – 20対ある。葉腋から伸ばした短い花柄の先端に、総状花序をつける[3]。花は淡紅色の蝶形花で、長さ1 - 1.5センチメートル (cm) 、多数が密生して咲く[3]。果実(豆果)は長方形で、長さ3 - 4 cm、中に3 - 7個の紅色の種子がある[5]。種子は卵形から丸形の楕円形で、光沢があり、基部は黒い[3]。染色体数 2 n=22[3]

利用

種子は赤く美しいので、古くから装飾用ビーズネックレス[3]マラカスのような楽器の材料に使われた。古くはインドマレー半島で、この種子の重さで金の重さを量ったこともある[3]。最も重要な用途としては、仏教徒の数珠や、ネックレスなどの装身具の製造である[3]

アフリカでは葉や根の甘味を利用することがあるというが、種子にはアブリン(英語版)という毒性タンパク質がある[3]。これはトウゴマ種子に含まれるリシンと同様、リボゾームにおけるタンパク質生合成を妨害する。経口摂取でも変性しないため猛毒性を示す。また、毒性は煮るとなくなるともいわれるので、アフリカやインドで食用にされることもあるが、多量に食べると頭痛が起こるといわれる[3]

有毒植物であるが、中国では種子を相思子(そうしし)の名で薬用にすることもあり、駆虫、頭痛、皮膚病に用いる[3]インドネシアでは、葉を Daun Saga と称し、下痢、扁桃炎、鷲口瘡、痔に用いる[3]。また、白い種子をつける変種はシッダたちの間で媚薬として用いられた[6]

ギャラリー

  • フランツ・ケーラーの Medicinal-Plantsより。
    フランツ・ケーラーの Medicinal-Plantsより。
  • 花
  • Abrus precatorius - Museum specimen
    Abrus precatorius - Museum specimen
  • トウアズキの花(熱帯・亜熱帯都市緑化植物園 植栽)
    トウアズキの花(熱帯・亜熱帯都市緑化植物園 植栽)
  • トウアズキ(熱帯・亜熱帯都市緑化植物園 植栽)
    トウアズキ(熱帯・亜熱帯都市緑化植物園 植栽)

注釈

  1. ^ Jumbieとは、カリブ海の国々の伝承に登場する精霊・小鬼である。

出典

  1. ^ a b c d e f g Wagstaff, D. Jesse (2008). International Poisonous Plants Checklist: An Evidence-Based Reference. en:CRC Press. p. 1. ISBN 1420062522. https://books.google.co.jp/books?id=h7tbd-5ZAQ8C&pg=PA1&lpg=PA1&dq=Abrus+precatorius+Jequirity&source=bl&ots=RnaagnGezA&sig=B-yk1i29Jny5OMPVCtGEvPIbH4k&hl=en&sa=X&ei=1FNzUI2YCqbi2AXe64DABw&redir_esc=y#v=onepage&q=Abrus%20precatorius%20Jequirity&f=false October 7, 2012閲覧。 
  2. ^ Bisby, Frank (1994). Phytochemical Dictionary of the Leguminosae, Volume 1. CRC Press. p. 1. ISBN 0412397706. https://books.google.co.jp/books?id=pqOcEBcwySkC&pg=PA1&lpg=PA1&dq=John+Crow+Bead+Abrus+precatorius+precatory&source=bl&ots=BoYDPKtDOY&sig=UD3yL4yNQ1WYx2Aos_wG4zDh5Cc&hl=en&sa=X&ei=B1hzUO7IE4XG2wWTpoD4CQ&redir_esc=y#v=onepage&q=John%20Crow%20Bead%20Abrus%20precatorius%20precatory&f=false October 7, 2012閲覧。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 掘田満ほか 編 1989, p. 28.
  4. ^ Mendes (1986), p. 79.
  5. ^ a b 大橋 1997, pp. 6–7.
  6. ^ Raamachandran, J. "Herbs of Siddha medicines: The First 3D Book on Herbs", page 2.

参考文献

  • 大橋広好「トウアズキ」『植物の世界』 5(種子植物)、朝日新聞社〈朝日百科〉、1997年10月、6–7頁。ISBN 9784023800106。 
  • 掘田満ほか 編『世界有用植物事典』平凡社、1989年8月25日。ISBN 4-582-11505-5。 

外部リンク

  • ウィキメディア・コモンズには、トウアズキ (カテゴリ)に関するメディアがあります。
  • ウィキスピーシーズには、トウアズキに関する情報があります。
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