ハルナック曲線定理

左の(次数3の滑らかな)楕円曲線は、M-曲線であり、成分の個数は最大の2である。一方、右の楕円曲線は、1つしか成分を持たない。

代数幾何学において、カール・アクセル・ハルナック(英語版)(Carl Gustav Axel Harnack)に因み命名されたハルナック曲線定理 (Harnack's curve theorem) は、代数曲線が持つことのできる連結成分の可能な数を、曲線の次数によって記述する。実射影平面の中の次数 m代数曲線では、成分の数 c は、

1 ( 1 ) m 2 c ( m 1 ) ( m 2 ) 2 + 1.   {\displaystyle {\frac {1-(-1)^{m}}{2}}\leq c\leq {\frac {(m-1)(m-2)}{2}}+1.\ }

の範囲の中にある。最大数は次数 m の曲線の最大種数に 1 を足したもので、曲線が非特異なときに達成される。さらに、この範囲の中の任意の値は、実際に可能である。

トロット曲線(英語版)は、ここでは7本の二重接線とともに示したが、次数4の M 曲線であり、成分の個数は4次で最大の4である。

実成分の最大数を持つ曲線を(最大 (maximum) の m から)M-曲線(M-curve)と呼ぶ。例えば、 y 2 = x 3 x {\displaystyle y^{2}=x^{3}-x} のような、2つの成分を持つ3次の楕円曲線や、4つの成分を持つ4次のトロット曲線(英語版)は、M-曲線の例である。

この定理はヒルベルトの第16問題(英語版)の背景をなしている。

最近の発展では、ハルナック曲線は、そのアメーバが(ダイマー模型の特性曲線と呼ばれる)多項式 Pニュートン多面体(英語版)と同じ面積を持つような曲線であり、さらに、すべてのハルナック曲線はあるダイマー模型のスペクトル曲線となっていることが示された (Mikhalkin 2001) (Kenyon, Okounkov & Sheffield (2006))。

参考文献

  • D. A. Gudkov, The topology of real projective algebraic varieties, Uspekhi Mat. Nauk 29 (1974), 3–79 (Russian), English transl., Russian Math. Surveys 29:4 (1974), 1–79
  • C. G. A. Harnack, Ueber die Vieltheiligkeit der ebenen algebraischen Curven, Math. Ann. 10 (1876), 189–199
  • G. Wilson, Hilbert's sixteenth problem, Topology 17 (1978), 53–74
  • Kenyon, Richard; Okounkov, Andrei; Sheffield, Scott (2006). “Dimers and Amoebae”. Annals of Mathematics 163 (3): 1019-1056.  url=http://arxiv.org/pdf/math-ph/0311005.pdf
  • Mikhalkin, Grigory (2001), AMOEBAS OF ALGEBRAIC VARIETIES  url=http://arxiv.org/pdf/math/0108225.pdf