南太平洋 (ミュージカル)
『南太平洋』(みなみたいへいよう、South Pacific)は、1949年初演のブロードウェイミュージカル。ジェームズ・ミッチナーの小説『南太平洋物語』(Tales of the South Pacific 1947年)、の中の、"Fo dalla"、"Our heroine"が原作。作曲はリチャード・ロジャース、脚本・作詞はオスカー・ハマースタイン2世。1950年、トニー賞を受賞。
あらすじ
太平洋戦争の真最中、南太平洋のニューヘブリディーズ諸島のある島が舞台。ここに海兵隊のジョセフ・ケーブル中尉が任務を帯びてやってきたところからストーリーは始まる。戦争の悲劇の中、対日作戦に協力するフランス出身の農園主エミール・デ・ベックと、島の海軍の看護婦ネリー・フォーブッシュ、ジョセフと島の土産物屋メリーの娘リアットとの恋を描く。
日本での公演
[1]
- 1979年
-
- 1979年6月3日 - 6月28日 東宝制作にて、東京宝塚劇場にて上演。演出はジョン・ファンリイが担当。
- 1984年
- 2013年(宝塚歌劇団・星組公演)
-
- 主演に轟悠(宝塚歌劇団・専科)を迎え、シアタードラマシティと日本青年館で上演。
- 潤色・演出は原田諒が担当。
- 2015年
-
- 映画演劇文化協会主催「ハローミュージカル!プロジェクト」として全国ツアーで上演[4]。
- 演出・振付は上島雪夫が担当。
主なキャスト
1966年 | 1979年 | 1984年 月組 | 1999年 | 2013年 星組 | 2015年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
エミール・ド・ベック | 高島忠夫 | 宝田明 | 剣幸 | 滝田栄 | 轟悠(専科) | 別所哲也 |
ネリー・フォーブッシュ | 越路吹雪 | 安奈淳 | 春風ひとみ | 一路真輝 | 妃海風 | 藤原紀香 |
ジョー・ケーブル中尉 | 岡田真澄 | おりも政夫 | 旺なつき[5] | 松村雄基 | 真風涼帆 | 渡辺大輔[# 1] 藤田玲[# 1] |
リアット | 二木てるみ | 湖条れいか | 仁科有理 | みほこ | 綺咲愛里 | 中根百合香[# 1] 田中祥恵[# 1] |
ブラッディ・メリー | 坂本スミ子 | ペギー葉山 | 常盤幸子 | 前田美波里 | 英真なおき(専科) | ちあきしん[# 2] |
ジョージ・ブラケット大佐 | ハナ肇 | 汝鳥伶 | 斎藤晴彦 | 一樹千尋(専科) | 磯部勉 | |
ウィリアム・ハービソン中佐 | 星原美沙緒 | 美稀千種 | 青木鉄仁 | |||
ルーサー・ビリス | 渥美清 | 井上順 | 一文字新 | 綿引勝彦 | 美城れん | 太川陽介 |
主なナンバー
- 魅惑の宵 (Some Enchanted Evening)
- 女が一番 (There Is Nothing Like a Dame)
- バリハイ (Bali Ha'i)
- ワンダフル・ガイ (A Wonderful Guy)
- 春よりも若く (Younger than Springtime)
- ハッピー・トーク (Happy Talk) 日本ではキリンビールのCMソングとして長期間使用され続けている。
- 用心深いはなし (Carefully taught)
- マイ・ガール・バック・ホーム (My girl back home) 初演ではカットされて歌われなかったが、映画版で復活した曲。
映画
南太平洋 | |
---|---|
South Pacific | |
監督 | ジョシュア・ローガン |
脚本 | ポール・オズボーン |
製作 | バディ・アドラー |
製作総指揮 | ジョージ・P・スコーラス(ノンクレジット) |
出演者 | ミッツィー・ゲイナー ロッサノ・ブラッツィ ジョン・カー |
音楽 | リチャード・ロジャース(原曲) アルフレッド・ニューマン(音楽監督) |
撮影 | レオン・シャムロイ |
編集 | ロバート・L・シンプソン |
製作会社 | マグナ・コーポレーション |
配給 | マグナ・シアター・コーポレーション/20世紀フォックス |
公開 | 1958年3月19日 1959年11月10日 |
上映時間 | 171分(70ミリ上映版) 157分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | 約6,000,000ドル |
興行収入 | 36,800,000ドル(北米興収) 17,000,000ドル(北米配収) |
テンプレートを表示 |
1958年に映画化された。ブロードウェイ版の監督であるジョシュア・ローガンが映画版でもそのまま監督をし、出演はミッツィー・ゲイナー、ロッサノ・ブラッツィ、ジョン・カーなど。2時間51分の上映時間で完成し、先行上映の後、2時間38分に再編集されて公開された。
当時は珍しかった2か月に及ぶ大規模なロケーション撮影が、ハワイのカウアイ島で敢行されて話題になった。しかし、歌のシーンでせっかくの美しい風景に(舞台の照明切替を意識した)様々な色のカラー・フィルターをかけてしまうという演出があったため、批評家の意見は賛否が分かれ、アカデミー作品賞でも『恋の手ほどき』(Gigi) に大きく差をつけられる結果になった。
ただし、映画公開に先行して発売されたサウンドトラックが人気を牽引する形となり、興行的には国内外で大成功をおさめ、1950年代を代表する人気映画の一つとなった(映画の製作費500万ドルに対し、全米配給収入だけで1850万ドルを稼ぎ出している)。
日本では、『オクラホマ!』などとともに70mmフィルムで撮影、公開されるさきがけの映画にもなった。このため南太平洋の70mm版フィルムに対応するために、場内設備を改装した映画館もある[6]。
登場人物
- エミール・デ・ベック
- 演 - ロッサノ・ブラッツィ(歌唱吹替 - ジョルジョ・トッツィ(英語版))
- フランス出身の裕福な農園主。
- ネリー・フォーブッシュ
- 演 - ミッツィー・ゲイナー
- 海軍看護婦。
- ジョセフ・ケーブル
- 演 - ジョン・カー(歌唱吹替 - ビル・リー(英語版))
- 海兵隊中尉。
- ルーサー・ビリス
- 演 - レイ・ウォルストン
- 兵士。洗濯屋兼よろず屋。
- メリー
- 演 - ファニタ・ホール(歌唱吹替 - ミュリエル・スミス(英語版))
- 土産物屋。
- リアット
- 演 - フランス・ニュイエン
- メリーの娘。
- ジョージ・ブラケット
- 演 - ラス・ブラウン(英語版)
- 米軍大佐。島の司令官。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
---|---|---|
TBS版 | ||
エミール・デ・ベック | ロッサノ・ブラッツィ | 広川太一郎 |
ネリー・フォーブッシュ | ミッツィー・ゲイナー | 武藤礼子 |
ジョセフ・ケーブル | ジョン・カー | 井上真樹夫 |
ルーサー・ビリス | レイ・ウォルストン | 加茂嘉久 |
メリー | ファニタ・ホール | 川路夏子 |
リアット | フランス・ニュイエン | 岡本茉利 |
ジョージ・ブラケット | ラス・ブラウン(英語版) | 矢田稔 |
ビル・ハービソン | フロイド・シモンズ | 西山連 |
不明 その他 | 立壁和也 清野みな 鈴木れい子 飯田有穂 | |
演出 | 佐藤敏夫 | |
翻訳 | 九鮎子 | |
効果 | TFC | |
調整 | 山下欽也 | |
制作 | 東北新社 | |
解説 | 荻昌弘 | |
初回放送 | 1973年3月26日 『月曜ロードショー』[7] |
※ソフト未収録
脚注
- ^ 小藤田千栄子「ミュージカル・コレクション」1986年11月4日 講談社
- ^ 翌月に続けて行われた名古屋公演ではジェリー藤尾に交代した。
- ^ 月組公演「南太平洋」プログラム 宝塚歌劇団 1985
- ^ “藤原紀香「ご期待下さい」4年ぶりミュージカル全国へ”. スポーツ報知. (2014年12月4日). https://web.archive.org/web/20141213195714/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20141203-OHT1T50292.html 2014年12月11日閲覧。
- ^ 旺なつき退団のため、東京公演は、郷真由加
- ^ “先どった戦後の映画ブーム”. SDエンターテイメント. 2019年3月9日閲覧。
- ^ 再放送1976年8月9日『月曜ロードショー』他
- ^ a b c d ダブルキャスト。
- ^ 歌唱指導も担当。
外部リンク
- 映画
- 舞台
- 星組・シアタードラマシティー公演『南太平洋』 - 宝塚歌劇団・公演バックナンバー
- ハローミュージカル!プロジェクト『南太平洋』
- 南太平洋 - シアターリーグ
- 松崎博「The Sound of Silence ―ロジャーズとハマースタイン二世の『南太平洋』について―」『人間文化 : 愛知学院大学人間文化研究所紀要』第25巻、愛知学院大学人間文化研究所、2010年9月、276-257頁、ISSN 0910-8424、CRID 1050287363435990528。
- 表示
- 編集
| |
---|---|
1949-1975 |
|
1976-2000 |
|
2001-現在 |
|