小さな花がひらいた
『小さな花がひらいた』(ちいさなはながひらいた)は、山本周五郎の短編小説『ちいさこべ』を原作とした宝塚歌劇団製作のミュージカルである。上演に当たっての潤色・演出は柴田侑宏、音楽は寺田瀧雄が担当した。
小品としては珍しく公演が重ねられた。
あらすじ
主人公・茂次(しげじ)は、大火で両親も店も失ってしまった、大工の若棟梁。
誰の力も借りずに家業を再興させると片意地をはる彼は、同じ境遇の焼け出された孤児たちを放っておけず、自ら孤児をひきとり、おりつと共に育てていくことになる。
常に悩みながらも、人の道をひたすらみつけようとする茂次だったが…。
これまでの上演
- 1971年 - 花組公演(初演)
- 10月30日〜11月30日[1]に宝塚大劇場、1972年7月2日〜7月28日[2]に東京宝塚劇場にて上演。
- 宝塚の形式名は「ミュージカル・ロマンス[3]」で10場[3]。
- 伴演作は宝塚ではグランド・ミュージカル『シシリーの夕陽 [4]』、東京では宝塚ロマン『哀愁のナイル[2]』。
- 上原まりは当時研4(入団4年目)。同年の『花は散る散る』新人公演ヒロインを経て大劇場公演の主役に抜擢された。
- 1973年6月14日〜7月1日[5]に館山、木更津、新潟、富山、福井、和歌山、岡山、三次、広島、松山、福山、鹿児島、加世田、人吉、9月10日〜26日[5]に太田、北上、盛岡、札幌、函館、紋別、滝川、小樽で続演。併演作はグランド・レビュー『ザ・フラワー[5]』。
- 1981年 - 星組公演
- 2月13日〜3月24日[6](新人公演:3月6日[7])に宝塚大劇場、1982年4月3日〜4月29日[8](新人公演:4月21日[7])に東京宝塚劇場にて上演。
- 宝塚の形式名は「ミュージカル・ロマンス[9]」で10場[9]。
- 伴演作は宝塚ではグランド・フォーリー『ラ・ビ・アン・ローズ[6]』、東京では グランド・レビュー『魅惑[8]』。
- 1982年の東京公演は東千晃のサヨナラ公演。彼女の強い希望があって、この作品を東京へ持っていく事に決まったという(81年の時点では東京公演の予定が無かった)。
- 東京公演では役替わり公演も実施された。
- 主な配役(新人公演)※下記のデータは宝塚・東京共通
- 1991年 - 花組公演
- 2月23日〜3月10日に宝塚バウホール[10]、5月5日〜5月10日に日本青年館[11]で上演。
- 形式名は「バウ・ロマン[10][11]」。
- この公演で、当時男役二番手朝香じゅんと娘役梢真奈美が宝塚歌劇団を退団。
- 1992年 - 花組公演
- 4月14日〜5月5日[12]
- 形式名は「江戸切絵[12]」。
- 伴演作はグランド・ショー『ジャンクション24[12]』。
- おりつには当時の娘役の華陽子が起用された。トップ娘役だった森奈みはるは孤児の中心・象徴的存在あつ役を前年バウ公演に引き続き演じた。
- 2011年 - 花組
- 10月15日〜11月13日
- 10月15日・16日に市川市文化会館(千葉県)
- 10月18日に府中の森芸術劇場(東京都)
- 10月20日に前橋市民文化会館(群馬県)
- 10月22日・23日に梅田芸術劇場・メインホール(大阪府)
- 10月25日・26日にアクトシティ浜松(静岡県)
- 10月27日に幸田町民会館・さくらホール(愛知県)
- 10月29日にまつもと市民・芸術館(長野県)
- 10月30日にホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
- 11月1日にコラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
- 11月3日にグリーンホール相模大野(神奈川県)
- 11月6日に大館市民文化会館(秋田県)
- 11月8日に青森市文化会館(青森県)
- 11月10日に北上さくらホール(岩手県)
- 11月12日・13日にニトリ文化ホール(旧・北海道厚生年金会館)(北海道札幌市)
- 形式名は「江戸風土記[13]」。
- 併演はロマンチック・レビュー『ル・ポァゾン 愛の媚薬II』
- 予定されていた仙台公演が東日本大震災の影響で中止となったが、被災者との交流会が企画された。[14]
外部リンク
- 宝塚歌劇団公式ページ
スタッフ
1971年
- 宝塚
- 脚本・演出:柴田侑宏[1]
- 作曲:寺田瀧雄[1]
- 編曲:寺田瀧雄[1]、十時一夫[1]
- 音楽指導・合唱指導:十時一夫[1]
- 振付:喜多弘[4]
- 装置:黒田利邦[4]
- 衣装:小西松茂[4]、中川菊枝[4]
- 照明:今井直次[4]
- 小道具:上田特市[4]
- 効果:河ノ上智洋[4]
- 音響監督:松永浩志[4]
- 演出補:大関弘政[4]
- 演出助手:村上信夫[4]
- 製作:大谷真一[4]
- 東京 宝塚・東京以外
主なスタッフに柴田侑宏[5][15]がいる。
1981年
- 宝塚
- 脚本・演出:柴田侑宏[6]
- 作曲・編曲:寺田瀧雄[16]
- 編曲・音楽指導:十時一夫[16]
- 振付:喜多弘[16]
- 装置:黒田利邦[16]
- 衣装[16]:小西松茂、中川菊枝
- 照明:今井直次[17]
- 音響:松永浩志[17]
- 小道具:上田特市[17]
- 効果:川ノ上智洋[17]
- 演出助手[17]:正塚晴彦、谷正純
- 制作:久国高[17]
- 東京
主なスタッフに柴田侑宏[8](脚本・演出)がいる。
1991年
- 脚本・演出:柴田侑宏[10]
- 作曲:寺田瀧雄[10]
- 編曲:寺田瀧雄[10]、吉田優子[10]
- 振付:喜多弘[10]
- 装置:黒田利邦[10]、大橋泰弘[10]
- 衣装:小西松茂[10]、中川菊枝[10]
- 照明:今井直次[10]
- 演出補:正塚晴彦[10]
- 録音演奏:宝塚ニューサウンズ[10]
- 製作:細川勝幸[10]、飯島健[10]
1992年
脚本・演出は柴田侑宏[12]。
2011年
脚本は柴田侑宏[13]、演出は中村暁[13]。
配役
1971年花組 (宝塚) | 1971年花組 (東宝、地方) | 1981年星組 | 1982年星組 (東宝・役替わり) | 1991年花組 | 1992年花組 | 2011年花組 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
茂次 | 甲にしき[1] | 甲にしき | 瀬戸内美八 | 峰さを理 | 朝香じゅん[10][11] | 安寿ミラ[12] | 蘭寿とむ[18] |
おりつ | 上原まり[1] | 上原まり | 東千晃 | 紫城いずみ | 梢真奈美[10][11] | 華陽子[12] | 蘭乃はな[18] |
くろ | 瀬戸内美八[1] | 瀬戸内美八 | 峰さを理 | 大浦みずき | 安寿ミラ[10][11] | 真矢みき[12] | 華形ひかる[18] |
おゆう | 舞小雪[1] | 舞小雪 | 月城千晴(宝塚) 若宮あいの(東宝) | 湖条れいか[10][11] | 華陽子[10][11] | 詩乃優花[12] | 花野じゅりあ[18] |
菊二 | 立ともみ | 大浦みずき 朝香じゅん[19] | 朝香じゅん | 宝樹芽里[10][11][12] | 鳳真由[18] | ||
伝次 | 宝純子 | 日向薫 夏美よう[19] | 日向薫 | 香寿たつき[10][11] | 真琴つばさ[12] | 大河凜[18] | |
梅 | 八汐みちる | 紫城いずみ 南風まい[19] | 南風まい | 夏目佳奈[10][11][12] | 芽吹幸奈[18] | ||
助二郎 | 麻月鞠緒 | 麻月鞠緒(宝塚) 但馬久美(東宝) | 但馬久美 | 麻月鞠緒[10][11] | 未沙のえる[12] | 夏美よう[18] | |
大六 | 水はやみ[1] | 水はやみ | 新城まゆみ(宝塚) 孝まりお(東宝) | 孝まりお | 舵一星[10][11] | 磯野千尋[12] | 望海風斗[18] |
お久 | 水穂葉子[1] | 水穂葉子 | 藤京子 | 北小路みほ[10][11] | 邦なつき[12] | 京三紗[18] | |
あつ | 月笛真由美 | 葦川牧 湖映佳奈子[19] | 葦川牧 | 森奈みはる[10][11][12] | 月野姫花[18] | ||
伊吉 | 歌川波瑠美 | 葉山三千子 | 葉山三千子 | 岸香織[10][11][12] | 紫峰七海[18] | ||
中島市蔵 | 藤園さとみ | 洋ゆり | 未沙のえる[10][11] | 天地ひかり | 高翔みず希[18] | ||
重吉 | 新城まゆみ | 吹雪仁美 八世路るか | 吹雪仁美 | 大舞夏織[10][11] | 大伴れいか[12] | 和海しょう[18] | |
勘太 | 星すばる | 知直冬 匠鴻 | 知直冬 | 姿月あさと[10][11][12] | 舞月なぎさ[18] | ||
じっ平 | 丘月美登 | 高瀬美亜 紫苑ゆう | 高瀬美亜 | 夏城令[10][11][12] | 新菜かほ[18] | ||
兼六 | ?? | ?? | ?? | 黒川深雪[10][11] | ?? | 彩城レア[18] | |
孤児 | 八汐みちる[1] 月笛真由美[1] 才玉蓮[1] | ?? | ?? | ?? | ?? | ?? | ?? |
主な楽曲
- 小さな花がひらいた
- もう涙とはおさらばさ
関連項目
- 小さな花がひらいた/シシリーの夕陽 (脚本) 花組 大劇場公演プログラム(1971年/PRG-11044B)
- 小さな花がひらいた/哀愁のナイル 花組 東京公演プログラム(1972年/PRG-12039B)
- 哀愁のナイル/小さな花がひらいた(楽譜)(1972年/花組/東京・SHU-118B)
- 小さな花がひらいた/ラ・ビ・アン・ローズ 星組 大劇場公演プログラム(1981年/PRG-41044B)
- 小さな花がひらいた/ラ・ビ・アン・ローズ 星組 東京公演プログラム(1982年/PRG-42037B)
- 宝塚歌劇主題歌集(楽譜) 小さな花がひらいた/ラ・ビ・アン・ローズ (1981年 星組/No.192(SHU-192B))
- 小さな花がひらいた(1991年 花組公演/CD・TMPC-98B)
- 小さな花がひらいた/ル・ポァゾン 愛の媚薬2(2011年/DVD・TCAD-352B)
脚注
[脚注の使い方]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 60年史別冊 1974, p. 115.
- ^ a b 60年史別冊 1974, p. 126.
- ^ a b 100年史(舞台) 2014, p. 136.
- ^ a b c d e f g h i j k l 60年史別冊 1974, p. 116.
- ^ a b c d 90年史 2004, p. 297.
- ^ a b c 90年史 2004, p. 269.
- ^ a b c d 100年史(舞台) 2014, p. 297.
- ^ a b c 90年史 2004, p. 281.
- ^ a b 100年史(舞台) 2014, p. 150.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 80年史 1994, p. 349.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 80年史 1994, p. 351.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 80年史 1994, p. 357.
- ^ a b c 宝塚歌劇団公式ページ
- ^ 東北被災地復興支援事業 『宝塚歌劇団花組タカラジェンヌとともに』
- ^ 90年史 2004, p. 280.
- ^ a b c d e 100年史(人物) 2014, p. 198.
- ^ a b c d e f 100年史(人物) 2014, p. 199.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 2007年・宝塚歌劇公式ページのキャスト 2017年9月18日閲覧。
- ^ a b c d ダブルキャスト
外部リンク
- 花組 バウホール「小さな花がひらいた」配信deタカラヅカ(宝塚クリエイティブアーツ)
参考文献
- 編集発行人:橋本雅夫『宝塚歌劇の60年別冊・年譜 最近の10年』宝塚歌劇団、1974年。
- 企画・構成・執筆:橋本雅夫、編集統括:北川方英『夢を描いて華やかに -宝塚歌劇80年史-』宝塚歌劇団、1994年。ISBN 4-924333-11-5。
- 編集:森照実・春馬誉貴子・相井美由紀・山本久美子『宝塚歌劇の90年史『すみれの花歳月を重ねて』』宝塚歌劇団、2004年。ISBN 4-484-04601-6。
- 監修・著作権者:小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて(舞台編)』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日。ISBN 978-4-484-14600-3。
- 監修・著作権者:小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて(人物編)』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日。ISBN 978-4-484-14601-0。
- 表示
- 編集