巡回加群

数学において、巡回加群(じゅんかいかぐん、: cyclic module)とは、1つの元で生成される加群のことである。

定義

R 上の左加群 M が巡回加群であるとは、ある xM が存在して、 M = R x := { r x r R } {\displaystyle M=Rx:=\{rx\mid r\in R\}} となることである。右加群についても同様に定義される。

性質

R を環とする。左 R-加群 M が巡回加群であるための必要十分条件は、MRR剰余加群となることである[1]。具体的には、M = Rx のとき、準同型定理より R x R / Ann R ( x ) {\displaystyle Rx\cong R/\operatorname {Ann} _{R}(x)} となる。ただし、 Ann R ( x ) = { r R r x = 0 } {\displaystyle \operatorname {Ann} _{R}(x)=\{r\in R\mid rx=0\}} である。

巡回 Z-加群の部分加群は再び巡回加群であるが、一般の環上の巡回加群の部分加群は巡回加群とは限らない[2]

脚注

  1. ^ 岩永 & 佐藤 2002, 命題2-2-4.
  2. ^ たとえば R = M = Z[x] とすると、その部分加群 2M + xM は巡回加群ではない。

参考文献

  • 岩永, 恭雄、佐藤, 眞久『環と加群のホモロジー代数的理論』(第1版)日本評論社、2002年。ISBN 4-535-78367-5。