巡回畳み込み(じゅんかいたたみこみ、英語: circular convolution)あるいは循環畳み込み(じゅんかんたたみこみ、英語: cyclic convolution)とは、二つの非周期関数に対し、一方の周期和(英語版)を用いて、もう一方を通常の方法で畳み込むことを意味する。このような状況は巡回畳み込み定理の文脈において現れる。もし無限の積分区間が、ちょうど一周期分へと減らされた場合には、両方の関数の周期和として、同様の畳み込み作用を表現することが出来る。このような状況は離散時間フーリエ変換の文脈において現れ、周期畳み込みとも呼ばれる。特に、二つの離散シーケンスの積に対する離散時間フーリエ変換は、各シーケンスに対するその変換の周期畳み込みである[1]。
周期 T の周期関数 xT と、他の関数 h との畳み込みはふたたび周期関数となり、次のような形で、有限区間の積分として表現される:
- [2]
ここで to は任意のパラメータであり、hT は h の周期和で、それは次のように定義される:
この演算は関数 xT と hT の周期畳み込みである。もし xT が他の関数 x の周期和であるなら、同様の演算は関数 x と h の巡回畳み込みと呼ばれる。
離散シーケンス
同様に、周期 N の離散シーケンスに対して、関数 h と x の巡回畳み込みを次のように書くことが出来る:
これは行列の乗法に対応し、その積分変換の核は巡回行列である。
関連項目
注釈
- ^ もし連続関数 x(t) のサンプルからなるシーケンス x[n] のフーリエ変換が X(ƒ) であるなら、その離散時間フーリエ変換は X(ƒ) の周期和となる(離散時間フーリエ変換を参照されたい)。
- ^ 証明:
-
参考文献
- Rabiner, Lawrence R.; Gold, Bernard (1975). Theory and application of digital signal processing. Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall. pp. 63–67. ISBN 0-13-914101-4
- Oppenheim, Alan V.; Schafer, Ronald W.; Buck, John A. (1999). Discrete-time signal processing. Upper Saddle River, N.J.: Prentice Hall. ISBN 0-13-754920-2