1993年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月5日に開幕した。アメリカンリーグの第25回リーグチャンピオンシップシリーズ(25th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、同日から12日にかけて計6試合が開催された。その結果、トロント・ブルージェイズ(東地区)がシカゴ・ホワイトソックス(西地区)を4勝2敗で下し、2年連続2回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がリーグ優勝決定戦で対戦するのはこれが初めて。この年のレギュラーシーズンでは両球団は12試合対戦し、6勝6敗の五分だった[1]。ブルージェイズは球団予算上の制約により、前年ワールドシリーズ制覇時のロースターから25人中12人を入れ替えて今シリーズに臨んだが[2]、リーグ2連覇を達成した。新加入選手のうち、先発投手のデーブ・スチュワートは第2戦と第6戦の2登板13.1イニングで2勝・防御率2.03を記録、オークランド・アスレチックス時代の1990年以来3年ぶりにシリーズMVPを受賞した。リーグ優勝決定戦の優勝決定試合で勝利投手となるのは、1988年・1989年・1990年に次いで4度目である[3]。また、同じく新加入選手のうち、指名打者のポール・モリターは今シリーズでいずれもチームトップの長打率.696・5打点という成績を残した[4]。モリターはワールドシリーズでも好調を維持して同シリーズMVPを受賞、ブルージェイズはナショナルリーグ王者フィラデルフィア・フィリーズを4勝2敗で下して連覇を成し遂げた。
試合結果
1993年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月5日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月05日(火) | 第1戦 | トロント・ブルージェイズ | 7-3 | シカゴ・ホワイトソックス | コミスキー・パーク | |
10月06日(水) | 第2戦 | トロント・ブルージェイズ | 3-1 | シカゴ・ホワイトソックス |
10月07日(木) | | 移動日 | |
10月08日(金) | 第3戦 | シカゴ・ホワイトソックス | 6-1 | トロント・ブルージェイズ | スカイドーム |
10月09日(土) | 第4戦 | シカゴ・ホワイトソックス | 7-4 | トロント・ブルージェイズ |
10月10日(日) | 第5戦 | シカゴ・ホワイトソックス | 3-5 | トロント・ブルージェイズ |
10月11日(月) | | 移動日 | |
10月12日(火) | 第6戦 | トロント・ブルージェイズ | 6-3 | シカゴ・ホワイトソックス | コミスキー・パーク |
優勝:トロント・ブルージェイズ(4勝2敗 / 2年連続2度目) |
第1戦 10月5日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
マイケル・ジョーダンによる始球式(25秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
トロント・ブルージェイズ | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 2 | 0 | 0 | 7 | 17 | 1 |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 | 1 |
- 勝:フアン・グーズマン(1勝) 敗:ジャック・マクダウエル(1敗)
- 本塁打
TOR:ポール・モリター1号2ラン
- 審判
[球審]ジム・エバンス
[塁審]一塁: グレッグ・コスク、二塁: ジョン・シュロック、三塁: テッド・ヘンドリー
[外審]左翼: ティム・チダ、右翼: ケン・カイザー - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時15分 試合時間: 3時間38分 観客: 4万6246人 気温: 57°F(13.9°C)
詳細: Baseball-Reference.com
この日、試合前の始球式はバスケットボール選手のマイケル・ジョーダンによって行われた。ジョーダンはNBAのシカゴ・ブルズで中心選手として活躍、この年の6月にはチームをファイナル3連覇へ導き、自身も3年連続の同シリーズMVPを受賞している。ホワイトソックスとブルズはともにジェリー・ラインズドルフがオーナーを務めていることから、始球式後にジョーダンは球場のスイート席でラインズドルフらと試合を観戦した。
試合開始から2時間ほどが経過したとき、NBCの報道番組Dateline NBCが「明日6日の朝、ジョーダンが現役引退を発表する模様」と速報し、その約20分後にはCBSの今シリーズ中継でも6回表途中、リポーターのパット・オブライエンによって一報が入れられた[注 1][5]。引退の知らせが広がり始めたため、ジョーダンは試合中にもかかわらず球場を後にし、ラインズドルフは6日に「重大な、重大な発表」があることを認めた[6]。そして6日、ジョーダンはバスケットボールからの引退を表明した。ジョーダンは、発表のタイミングについて「ブルズのトレーニングキャンプが始まる7日までにしておきたかった」としたうえで、引退報道がホワイトソックスの試合よりも大きな話題になってしまったことについてラインズドルフとともに、謝罪の意思をGMのロン・シューラーを介して選手たちへ伝えた[7]。
第2戦 10月6日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
トロント・ブルージェイズ | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 8 | 0 |
シカゴ・ホワイトソックス | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 2 |
- 勝:デーブ・スチュワート(1勝) 敗:アレックス・フェルナンデス(1敗) S:デュアン・ウォード(1S)
- 審判
[球審]グレッグ・コスク
[塁審]一塁: ジョン・シュロック、二塁: テッド・ヘンドリー、三塁: ティム・チダ
[外審]左翼: ケン・カイザー、右翼: ジム・エバンス - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後2時8分 試合時間: 3時間0分 観客: 4万6101人 気温: 72°F(22.2°C)
詳細: Baseball-Reference.com
第3戦 10月8日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 0 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 12 | 0 |
トロント・ブルージェイズ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 1 |
- 勝:ウィルソン・アルバレス(1勝) 敗:パット・ヘントゲン(1敗)
- 審判
[球審]ジョン・シュロック
[塁審]一塁: テッド・ヘンドリー、二塁: ティム・チダ、三塁: ケン・カイザー
[外審]左翼: ジム・エバンス、右翼: グレッグ・コスク - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時10分 試合時間: 2時間56分 観客: 5万1783人
詳細: Baseball-Reference.com
第4戦 10月9日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
6回表、フランク・トーマスのソロ本塁打でホワイトソックスが同点に(47秒) |
9回裏、ロベルト・ヘルナンデスがポール・モリターを遊ゴロに打ち取り試合終了、ホワイトソックスが2勝2敗のタイに(42秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 1 | 7 | 11 | 0 |
トロント・ブルージェイズ | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 9 | 0 |
- 勝:ティム・ベルチャー(1勝) 敗:トッド・ストットルマイヤー(1敗) S:ロベルト・ヘルナンデス(1S)
- 本塁打
CWS:ランス・ジョンソン1号2ラン、フランク・トーマス1号ソロ
- 審判
[球審]テッド・ヘンドリー
[塁審]一塁: ティム・チダ、二塁: ケン・カイザー、三塁: ジム・エバンス
[外審]左翼: グレッグ・コスク、右翼: ジョン・シュロック - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時15分 試合時間: 3時間30分 観客: 5万1889人
詳細: Baseball-Reference.com
第5戦 10月10日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 5 | 1 |
トロント・ブルージェイズ | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | X | 5 | 14 | 0 |
- 勝:フアン・グーズマン(2勝) 敗:ジャック・マクダウエル(2敗)
- 本塁打
CWS:エリス・バークス1号ソロ、ロビン・ベンチュラ1号2ラン
- 審判
[球審]ティム・チダ
[塁審]一塁: ケン・カイザー、二塁: ジム・エバンス、三塁: グレッグ・コスク
[外審]左翼: ジョン・シュロック、右翼: テッド・ヘンドリー - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時10分 試合時間: 3時間9分 観客: 5万1375人
詳細: Baseball-Reference.com
第6戦 10月12日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
9回表、ポール・モリターの2点三塁打でブルージェイズが4点差に突き放す(30秒) |
その裏、デュアン・ウォードがティム・レインズを右飛に打ち取り試合終了、ブルージェイズのリーグ連覇が決定(1分26秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
トロント・ブルージェイズ | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 | 10 | 0 |
シカゴ・ホワイトソックス | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 5 | 3 |
- 勝:デーブ・スチュワート(2勝) 敗:アレックス・フェルナンデス(2敗) S:デュアン・ウォード(2S)
- 本塁打
TOR:デボン・ホワイト1号ソロ
CWS:ウォーレン・ニューソン1号ソロ - 審判
[球審]ケン・カイザー
[塁審]一塁: ジム・エバンス、二塁: グレッグ・コスク、三塁: ジョン・シュロック
[外審]左翼: テッド・ヘンドリー、右翼: ティム・チダ - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時10分 試合時間: 3時間31分 観客: 4万5527人 気温: 48°F(8.9°C)
詳細: Baseball-Reference.com
脚注
注釈
- ^ ただし一部地域では、CBSの今シリーズ中継のほうがジョーダン引退を早く報じたこととなる。というのも、Dateline NBCは東海岸では生放送であるのに対し、西海岸では録画放送だったためである。
出典
- ^ "1993 Toronto Blue Jays Schedule," Baseball-Reference.com. 2021年4月27日閲覧。
- ^ Murray Chass, "THE PLAYOFFS; But the Blue Jays Have Some Storybook Characters, Too," The New York Times, October 14, 1993. 2021年4月27日閲覧。
- ^ Murray Chass, "THE PLAYOFFS; In the Fall, Blue Jays Migrate Back to World Series," The New York Times, October 13, 1993. 2021年4月27日閲覧。
- ^ Murray Chass, "WORLD SERIES; Flighty No. 3 and 4 Starters Worry Jays," The New York Times, October 15, 1993. 2021年4月27日閲覧。
- ^ Larry Stewart, "Unbelievable News? Not From This Source," Los Angeles Times, October 8, 1993. 2021年4月27日閲覧。
- ^ "Jordan to retire," UPI Archives, October 5, 1993. 2021年4月27日閲覧。
- ^ Carrie Muskat, "Jordan apologizes to Whie Sox," UPI Archives, October 6, 1993. 2021年4月27日閲覧。
外部リンク
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1993 American League Championship Series - IMDb(英語)
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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レベル・オブ・エクセレンス | |
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ワールドシリーズ優勝(2回) | |
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リーグ優勝(2回) | |
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傘下マイナーチーム | |
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シカゴ・ホワイトソックス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ優勝(3回) | |
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ワールドシリーズ敗退(2回) | |
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リーグ優勝(6回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - シャーロット・ナイツ(AAA級)
- バーミングハム・バロンズ(AA級)
- ウィンストン・セイラム・ダッシュ(High-A級)
- カナポリス・キャノンボーラーズ(Low-A級)
- アリゾナ・コンプレックスリーグ・ホワイトソックス (Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・ホワイトソックス(Rookie級)
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