1996年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月1日に開幕した。アメリカンリーグの第27回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 27th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、9日から13日にかけて計5試合が開催された。その結果、ニューヨーク・ヤンキース(東地区)がボルチモア・オリオールズ(同)を4勝1敗で下し、15年ぶり34回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのはこれが初めて。地区2位以下の最高勝率球団にポストシーズン出場権を与えるワイルドカード制度が1994年から導入されたことにより、地区優勝をしていない球団のリーグ優勝決定戦進出や、リーグ優勝決定戦での同地区球団対決が今回初めて実現した[1]。この年のレギュラーシーズンでは両球団は13試合対戦し、ヤンキースが10勝3敗と勝ち越していた[2]。今シリーズの第1戦、8回裏にヤンキースのデレク・ジーターが右方向へ飛球を打ち上げたところ、右翼手トニー・タラスコの上から観客がグラブを出して捕球した。右翼線審のリッチ・ガルシアが観客による守備妨害を認めず本塁打と判定したためヤンキースは同点に追いつき、のちにサヨナラ勝利を収めたことから、この観客――12歳の少年ジェフリー・マイアー――はヤンキースのファンから "英雄" として持て囃された[3]。シリーズMVPには、その第1戦で延長11回裏にサヨナラ本塁打を放つなど、5試合で打率.474・2本塁打・6打点・OPS 1.531という成績を残したヤンキースのバーニー・ウィリアムスが選出された。このあとヤンキースは、ワールドシリーズでもナショナルリーグ王者アトランタ・ブレーブスを4勝2敗で下し、18年ぶり23度目の優勝を成し遂げた。
試合結果
1996年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月9日に開幕し、5日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月09日(水) | 第1戦 | ボルチモア・オリオールズ | 4-5x | ニューヨーク・ヤンキース | ヤンキー・スタジアム | |
10月10日(木) | 第2戦 | ボルチモア・オリオールズ | 5-3 | ニューヨーク・ヤンキース |
10月11日(金) | 第3戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 5-2 | ボルチモア・オリオールズ | オリオール・パーク・ アット・カムデン・ヤーズ |
10月12日(土) | 第4戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 8-4 | ボルチモア・オリオールズ |
10月13日(日) | 第5戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 6-4 | ボルチモア・オリオールズ |
優勝:ニューヨーク・ヤンキース(4勝1敗 / 15年ぶり34度目) |
第1戦 10月9日
映像外部リンク |
---|
MLB.comによる動画(英語) |
8回裏、デレク・ジーターのソロ本塁打でヤンキースが同点に追いつく。オリオールズ側は観客による守備妨害を主張するも認められず(4分35秒) |
ヤンキースの4番手投手マリアノ・リベラが延長10回表・11回表の2イニングを無失点に封じる(59秒) |
11回裏、先頭打者バーニー・ウィリアムスの本塁打でヤンキースがサヨナラ勝利(39秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | R | H | E |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 11 | 1 |
ニューヨーク・ヤンキース | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1x | 5 | 11 | 0 |
- 勝:マリアノ・リベラ(1勝) 敗:ランディ・マイヤーズ(1敗)
- 本塁打
BAL:ブレイディ・アンダーソン1号ソロ、ラファエル・パルメイロ1号ソロ
NYY:デレク・ジーター1号ソロ、バーニー・ウィリアムス1号ソロ - 審判
[球審]ラリー・バーネット
[塁審]一塁: デイル・スコット、二塁: マイク・ライリー、三塁: ダン・モリソン
[外審]左翼: ロッキー・ロー、右翼: リッチ・ガルシア - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時8分 試合時間: 4時間23分 観客: 5万6495人 気温: 66°F(18.9°C)
詳細: MLB.com / Baseball-Reference.com
第2戦 10月10日
映像外部リンク |
---|
MLB.comによる動画(英語) |
7回表、ラファエル・パルメイロの2点本塁打でオリオールズが勝ち越し(1分13秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 5 | 10 | 0 |
ニューヨーク・ヤンキース | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 11 | 1 |
- 勝:デビッド・ウェルズ(勝) 敗:ジェフ・ネルソン(1敗) S:アーマンド・ベニテス(1S)
- 本塁打
BAL:トッド・ジール1号2ラン、ラファエル・パルメイロ1号2ラン
- 審判
[球審]デイル・スコット
[塁審]一塁: マイク・ライリー、二塁: ダン・モリソン、三塁: ロッキー・ロー
[外審]左翼: リッチ・ガルシア、右翼: ラリー・バーネット - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後3時7分 試合時間: 4時間13分 観客: 5万8432人 気温: 58°F(14.4°C)
詳細: MLB.com / Baseball-Reference.com
第3戦 10月11日
映像外部リンク |
---|
MLB.comによる動画(英語) |
8回表、ヤンキース打線が4安打に敵失も絡めて4点を奪い逆転(2分29秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ニューヨーク・ヤンキース | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 5 | 8 | 0 |
ボルチモア・オリオールズ | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 2 |
- 勝:ジミー・キー(1勝) 敗:マイク・ムッシーナ(1敗) S:ジョン・ウェッテランド(1S)
- 本塁打
NYY:セシル・フィルダー1号2ラン
BAL:トッド・ジール2号2ラン - 審判
[球審]マイク・ライリー
[塁審]一塁: ダン・モリソン、二塁: ロッキー・ロー、三塁: リッチ・ガルシア
[外審]左翼: ラリー・バーネット、右翼: デイル・スコット - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時7分 試合時間: 2時間50分 観客: 4万8635人 気温: 57°F(13.9°C)
詳細: MLB.com / Baseball-Reference.com
第4戦 10月12日
映像外部リンク |
---|
MLB.comによる動画(英語) |
初回表、バーニー・ウィリアムスの2点本塁打でヤンキースが先制(1分2秒) |
ヤンキースのダリル・ストロベリーが2回表にソロ本塁打、8回表に2点本塁打を放ち3打点を挙げる(2分11秒) |
2回裏、オリオールズのカル・リプケン・ジュニアが放った中前へ抜けそうな打球を、遊撃手デレク・ジーターがダイビングキャッチし遊ゴロに(55秒) |
4回表、ポール・オニールの2点本塁打でヤンキースがリードを3点に広げる(55秒) |
ヤンキースの4番手投手マリアノ・リベラが7回裏・8回裏の2イニングを無失点に封じる(2分29秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ニューヨーク・ヤンキース | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 8 | 9 | 0 |
ボルチモア・オリオールズ | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 11 | 0 |
- 勝:デビッド・ウェザース(1勝) 敗:ロッキー・コッピンガー(1敗)
- 本塁打
NYY:バーニー・ウィリアムス2号2ラン、ダリル・ストロベリー1号ソロ・2号2ラン、ポール・オニール1号ソロ
BAL:クリス・ホイルズ1号ソロ - 審判
[球審]ダン・モリソン
[塁審]一塁: ロッキー・ロー、二塁: リッチ・ガルシア、三塁: ラリー・バーネット
[外審]左翼: デイル・スコット、右翼: マイク・ライリー - 夜間試合 試合時間: 3時間45分 観客: 4万8974人 気温: 65°F(18.3°C)
詳細: MLB.com / Baseball-Reference.com
第5戦 10月13日
映像外部リンク |
---|
MLB.comによる動画(英語) |
3回表、セシル・フィルダーとダリル・ストロベリーの2者連続本塁打でヤンキースが4点を追加(2分13秒) |
9回裏、ジョン・ウェッテランドがカル・リプケン・ジュニアを遊ゴロに打ち取り試合終了、ヤンキースのリーグ優勝が決定(2分27秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ニューヨーク・ヤンキース | 0 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 11 | 0 |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 4 | 4 | 1 |
- 勝:アンディ・ペティット(1勝) 敗:スコット・エリクソン(1敗)
- 本塁打
NYY:ジム・レイリッツ1号ソロ、セシル・フィルダー2号3ラン、ダリル・ストロベリー3号ソロ
BAL:トッド・ジール3号ソロ、エディ・マレー1号ソロ、ボビー・ボニーヤ1号2ラン - 審判
[球審]ロッキー・ロー
[塁審]一塁: リッチ・ガルシア、二塁: ラリー・バーネット、三塁: デイル・スコット
[外審]左翼: マイク・ライリー、右翼: ダン・モリソン - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時7分 試合時間: 2時間57分 観客: 4万8718人 気温: 77°F(25°C)
詳細: MLB.com / Baseball-Reference.com
脚注
- ^ Associated Press, "Orioles, Yankees Back At It," The Spokesman-Review, October 8, 1996. 2021年5月3日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年5月3日閲覧。
- ^ Ravi Nessman, "Hometown Abuzz Over Yankee ‘Hero’," Associated Press News, October 11, 1996. 2021年5月3日閲覧。
外部リンク
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1996 American League Championship Series - IMDb(英語)
|
---|
| | | - 2020
- 2021
- 2022
- 2023
- 2024
- 2025
- 2026
- 2027
- 2028
- 2029
- 2030
- 2031
- 2032
- 2033
- 2034
- 2035
- 2036
- 2037
- 2038
- 2039
| |
|
|
|
ニューヨーク・ヤンキース |
---|
球団 | |
---|
歴代本拠地 | |
---|
文化 | |
---|
永久欠番 | |
---|
ワールドシリーズ優勝(27回) | |
---|
ワールドシリーズ敗退(13回) | |
---|
リーグ優勝(40回) | |
---|
できごと | |
---|
傘下マイナーチーム | |
---|
ボルチモア・オリオールズ |
---|
球団 | |
---|
歴代本拠地 | |
---|
文化 | |
---|
永久欠番 | |
---|
オリオールズ球団殿堂 | |
---|
ワールドシリーズ優勝(3回) | |
---|
ワールドシリーズ敗退(4回) | |
---|
リーグ優勝(7回) | |
---|
できごと | |
---|
傘下マイナーチーム | - ノーフォーク・タイズ(AAA級)
- ボウイ・ベイソックス(AA級)
- アバディーン・アイアンバーズ(High-A級)
- デルマーバ・ショアバーズ(Low-A級)
- フロリダ・コンプレックスリーグ・オリオールズ(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・オリオールズ(Rookie級)
|
---|